こんにちは。ドローイングによる冷間ロール成形を得意とする宗和工業(ソウワコウギョウ)の岸野です。
当社の工場で最近、若い社員へ一人で簡単な機械の取り扱いや作業ができるようになるステップアップの教育がなされています。当社の製造工程の中に写真の中にある、コイル(鉄やステンレスの長い板をトイレットペーパーのようにくるくる巻いた材料)を溶接でつなぐという工程があります。当社では条件に合わせて何パターンかの方法で溶接しているのですが、教育中の若手社員にその工程を任せている中で、先日条件の違いでその製品に対して通常行う方法ではなく、別の方法(他の製品で何度も経験済み)で溶接しないと上手くできない、という状況が発生しました。
失敗したら、記憶に残るから。
私が上司なら、「条件が違うからいつもと違う方法でやらないと上手くいかないよ。」と伝えてやってもらいます。しかし、そのとき上司の方は黙ってやらせていました。結果いつもの方法で行い、上手くいかず、別の方法でやるように指摘されてやり直すことになりました。上司の方いわく、「たぶん上手くできないだろうと思いながら一人でやらせた。通常の方法で成功しても良し。違う方法に自分で気づけてもらえると一番良いが、気付かず失敗したら、記憶に残って次からは上手くできるようになる。今は工程に少し余裕があり、いざというときは自分がすれば間に合うので失敗することも見越して経験させた。」
同じ作業でも、学べる差が出てしまう。
確かに失敗するといろんなことを考え、次から失敗しない様にしようと必死に対策を考えます。なんでも上手く行くようにおぜん立てしていると、考えるきっかけが少なく、結果同じ作業をしていても学べることに大きな差がでてしまうなと思いました。
学んで考えるために、していい失敗をさせる余裕(時間的、資金的、心情的)を持ち様々な経験をさせる、そんな環境をこれからみんなと協力して整えていきたいです。