冷間ロール成形 ドローイングとフォーミング3

こんにちは。ドローイングによる冷間ロール成形を得意とする宗和工業(ソウワコウギョウ)の岸野です。

ドローイングとフォーミングの特徴について説明していきます。特に断りがない場合、汎用機の場合についての説明をしています。1種類のみを製造する専用機の場合は異なる部分もあります。

 ドローイングとフォーミングで違う部分にロールを保持するシャフトが変更可能か、固定かがあります。シャフトはロールの中心に通す芯のようなもので、材料を変形させるときにベアリングに保持されたシャフトがロールを支えます。材料が厚くなるほど、また急激な変形をさせるほどシャフトに大きな力がかかり、曲がろうとします。シャフトが曲がってしまうと、材料を正確に変形できなくなるため、厚い材料を使用するときは太いシャフトを使用する必要があります。

 ドローイングではシャフトの太さは製品によって変えることができます。フォーミングではシャフトの太さは機械によって決まっていて、製品ごとに変えることができません。従ってドローイングは一台の機械で対応可能な材料の厚みの幅が広く、フォーミングは厚みの幅が狭く、シャフトの太さを変えた複数の機械を準備する必要があります。ただしフォーミングでも太いシャフトの機械があれば幅広い材料厚みに対応できますが、シャフトの太さに応じてロールの大きさも大きくなり、金型代が高くなります。

 そのほかの違いとしてドローイングは一段に大きな力をかけやすく、また上下左右の4方向のロールを使うため、極小Rの角、部分圧延などの形状を作れるますが、フォーミングは一段に大きな力を掛けにくく、主として上下のロールのみ使用するため、極小Rの角、部分圧延などの形状を作ることができない、またはより多くのロールが必要になります。多くのロールが必要になるためフォーミングは金型代が高くなりやすい。といった特徴があります。

以上でドローイングとフォーミングそれぞれの特徴についての説明を終わります。

以上、3回にわたりお読みいただきありがとうございました。もし不明な点、分かりにくい所、間違っている事、また良かった点などありましたらご指摘ください。

皆様の冷間ロール成形のご理解の一助になり、少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。